漫画「I’s」を国定教科書にしろ

好きを語る

はじめに

突然だが、日本国民の三大義務を自信をもって諳(そら)んじることができるだろうか。瞬時に言えなかったり、不安がちに言ってしまった場合は恥じた方が良い。念のため確認しておくと、1.納税の義務2.勤労の義務、そして、3. 聖書「I’s」を最低50周は読む、だ。違う答えを想定してた場合は本来なら非国民として斬首刑にしてしまいたいところだが、今回は登場キャラクターのイズミちゃんの可愛さに免じて不問に付す。今回は、日本国民必携書「I’s」の魅力を改めて解説する。

 

あらすじ

まあ、絶対にないとは思うが、万が一「読んだことがない。ぴえん。」という非国民がいたときの場合を考えて、一応簡単なあらすじを記しておく。

物語は、モテない男子イチタカIchitaka)が、憧れの美少女イオリIori)との恋仲を狙う中、幼なじみのイツキItsuki)や、小悪魔後輩イズミIzumi)、年上お姉さんのアイコAiko)など様々なI(アイ)ガール達との関係に翻弄され、すれ違いや衝突を経験しながら成長する物語である。

この設定を受けて,「ふ~ん,よくあるドタバタ恋愛コメディモノじゃん」と高をくくった奴ら,全員,絞首刑な。貴様らは何一つ分かってない。このうような短絡的思考に陥る無学な奴らに対して40分くらい説教しようかなと思うけど,登場キャラクターであるイズミちゃんの可愛さに免じて今回だけは不問に付す。

本作が他の恋愛漫画の追随を許さない最大の要因は,それぞれのキャラクターの巧みな心理描写にあるだろう。全てのキャラクターの見どころについて語ると本記事の容量が200TB(1TBはワードで400億字くらい)になってしまいそうなので,今回は特に心が突き動かされる場面を3つ紹介するだけにとどめておこう。

心が突き動かされる場面3選

1.イオリちゃん

(I’s 完全版 第1巻表紙より)

本作のメインヒロインである演劇部所属のイオリちゃん。あるネット掲示板では,「この漫画を読んでイオリちゃん以外を好きになることなんてある?」と言わせるほどの圧倒的ヒロインである。芸能界に入るほどの美貌を持ちながらも控えめなところや,純粋そうな言動や行動がキモオタ(俺は違う)には受けたのだろう。キモオタ(俺は違う)はこういう可愛い処女好きそうだもんな!!

 

イオリちゃんの名シーンと言えば,クリスマスパーティの帰りの電車であろう。

 

パーティでは良い雰囲気になったが,告白まではいけなかった主人公イチタカ。帰りの電車で何気なく呟いた「結局告白できなかったし」というセリフに対し,

 

(I’s 完全版 第8巻65ページより)

「誰に告白するつもりだったの?」

「あっ」

ボッ….//////

 

そして,ページをめくると….

 

(I’s 完全版 第8巻66,67ページより)

この見開きでございますよ。

ちなみに,I’sの見開きは最強のシーンしかない。これマメな。

 

しかし,このシーンの後,

 

(I’s 完全版 第8巻70ページより)

伊織ちゃんは何も言わず電車から降りてしまう。

 

それは,どうすればよいか分からずに出た行動なのか?それとも好意を受け取れないという意味なのか…..?

 

その真意が分からぬまま,読者は主人公イチタカと共に大いなる絶望を味わうことになる。

 

先程までは全てが順調と思えた。

 

しかし,それは自分の中で勝手に作り上げた幻想に過ぎなかった。

 

楽しかったクリスマスパーティも,来たるべき冬休みも一転して,暗い暗い深海へと沈んでいった・・・・・・

・・・・・

・・・

・・

・・

・・

 

 

(I’s 完全版 第8巻74ページより)

思わず目を疑う。

 

しかし,紛れもなく,そこにいるのは伊織ちゃんだ。

 

そして,

 

 

(I’s 完全版 第8巻76ページより)

 

FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!(アメージングスパイダーマン)

 

いや~脳汁のスプラッシュマウンテンですよ。

 

これはキモオタ(俺は違う)を悩殺しますわ。

 

まあなんというかあれだね,急激にインターネットが発達した現代社会で即時性の高いコミュニケーションが可能になったにも関わらず逆に心は通い合えなくなってしまったような現代社会に生きる人々の乾いた五臓六腑に染み渡る聖水のようなみずみずしさだね(めちゃ早口)

 

しかし,冗談抜きに最近の世の中は狂ってる。高度なテクノロジーによってハード面は豊かになっているが,それを使う人間は乏しくなっていく一方である。借り物のドレスで着飾って,つまらない曲に合わせて踊らされ,ステップを外した人は殺すのか?まるで現代社会は,そんな狂気の舞踏会こぞってしがみついているかのようだ。

 

(I’s 完全版 第8巻76ページより)

FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!(アメージングスパイダーマン)

 

いや~このシーンの破壊力で全部どうでもよくなりますね!!!(*^^*)

狂気の舞踏会(笑)て

 

そんな脳内合法麻薬伊織ちゃんの名シーンでしたー。

 

2.イツキちゃん

(I’s 完全版 第5巻表紙より)

小学校からの幼馴染のイツキちゃん。奥手なイオリちゃんとは対照的に積極的なアプローチを仕掛けてくる。そのあまりの天真爛漫さにより,イオリちゃんとのすれ違いが増大してしまい,主人公イチタカは鬱陶しく感じる。しかし,一見ふざけているだけのように見える一連の愛情表現には,幼少期からの一貫した真面目な愛があったと知るようになる。そこから,幼馴染としてではなく,異性として意識し始め,難攻不落のイオリちゃんか,好いてくれているイツキちゃんかで揺らぎ始める。

 

そんなさなか,イツキちゃんがアメリカに行ってしまうことになる。ついに決断を迫られるイチタカ。イチタカは苦悩の末,イツキに告白し,日本に滞在してもらうことを選択するのだ。

 

「オレたち付き合おう もうどこにも行くな オレのそばにいろ!」

 

それに対しいつきは・・・・

 

(I’s 完全版 第5巻66ページより)

「でもね・・・それは・・困ったことに・・・伊織ちゃんのことを思ういっチャンが・・・・自然ないっチャンがあたしは好きなの」

 

(I’s 完全版 第5巻67ページより)

好きな人を好きでい続けるために敢えて「降りた」のだ。

 

本当はイチタカのことがとても好きなのに,いやとても好きだからこそ,イチタカが素のままでいられる伊織ちゃんと結ばれるエンドを選んだのだ。

 

URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッ!!(ディオ様)

 

切ない!!!!!!

 

ここまで相手を想って行動できる女の子が二次元にはいるッッ!!!!やっぱり二次元は最高だぜッッ!!!俺は三次元をやめるぞ!ジョジョーーッ!

 

3.イズミちゃん

(I’s 完全版 第9巻表紙より)

Love….おっと失礼,思わず思いがあふれてしまった。最後に紹介するのは後輩キャラのイズミちゃんだ。イズミちゃんは昔付き合っていた元カレとの思い出を断ち切るため,一人で海に来ていた。(大丈夫?( ̄▽ ̄;)おじさん話ならいつでも聞くよ!^^)

 

初対面にも関わらず,イズミの探しものを探すイチタカの姿に心を開いていく・・・(水くさいナ!オイラも探すの手伝ったのに^^)。

 

運命的な出会いを信じるイズミちゃん(可愛いね^^)は,イチタカの「ひと夏の」恋人に立候補した(オイラもしちゃおうかな^^)

 

(I’s 完全版 第6巻209ページより)

(イチタカ,殺●ていいかナ?^^ オイラ嫉妬で悶え狂いそうだヨ( ;∀;))

 

このような人類が考えられる最大の幸福状態にいるにも関わらず,イチタカは依然イオリを忘れられないでいた・・・

 

そんなイズミちゃんの魅力は何といっても,その献身的な姿勢にある。それを印象する最高シーンは,神社事件だろう。

 

イチタカはイオリといい感じの仲になったので,イズミちゃんにそのことを伝えて自分のことを諦めてもらおうとする。なかなかそれを伝えるタイミングがなく,町を歩いていると

 

(I’s 完全版 第9巻14ページより)

 

(I’s 完全版 第9巻15ページより)

何とか神社に誘おうとするイチタカに対し,「受験にご利益ないモン」と神社に行くことを渋るイズミちゃん。なぜ・・・・・?

 

(I’s 完全版 第9巻17ページより)

形式上参拝を済ませ,話を切り出そうとするイチタカだが,イズミちゃんは即座に神社から出ようとしている。なぜ・・・?

 

ここでイチタカ何かに気が付く。それは・・・

 

(I’s 完全版 第9巻18,19ページより)

イズミちゃんが毎日イチタカのために書いた絵馬だった・・・!!!

 

は・・・・・・・????

 

だめでしょ・・・・・

 

めちゃ好きキングでしょ・・・・・・・

 

さらに追加攻撃で,

 

(I’s 完全版 第9巻20ページより)

見せるためのアピールではなく,イチタカの合格を祈った心からの行動だったのだ。

 

は・・・・・・・????

 

だめでしょ・・・・・

 

結婚しよぉ・・・

 

さらに,最終的にはイチタカとは結ばれないのだが,

 

(I’s 完全版 第12巻194ページより)

結ばれない運命だと知りながらもイチタカのために奮闘するのだ。彼女の南アルプスの水よりも美しい精神は,腐敗した私の心を清める唯一にして最大のイデオロギーであり,世界を統べる絶対的愛なのだ・・・

 

冒頭でこの記事は200TBになるという超オモシロジョークを書いたが,実に199.99TBはこのイズミちゃんについてである。それほどまでにイズミちゃんの魅力はあふれている。イズミ,結納しよう。

 

おわりに

長々と拙文を垂れ流してしまったが,神漫画「I’s」の魅力をお伝えした。くどいようだが,今回触れられたのはごく一部であり,真の魅力は実際に読んでいただかなければならない。福本先生の名作「銀と金」では,恐怖心が水に例えられていた。恐怖とは,徐々に水深が上がり,身動きが取れなくなり,ついには呼吸困難に陥るような感覚である。まさに「I’s」の魅力もこれに近い。古い漫画だから共感もクソもないわとページをめくれば,すでに水はあなたのくるぶしを洗っている。そこからはただ魅力に沈んでいくばかりだ。さあ,キミも「I’s」で極上の窒息体験をしよう。

 

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