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偏見の目が凄い
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皆さんの身近に、気になるけど入りづらい飲食店はありませんか??
佇まいが古過ぎたり、逆に新し過ぎたり、自分とは違う層に向けられたお店だったり……理由は様々あると思います。
今回は私が体験した【入りづらい飲食店に行ったときの話】を紹介して、食のフロンティア精神を持つ方々の背中を押せたらと思います。
その食堂は大通りに面していた。
私が勤める会社から駅までの途中にある為、職場のだいたいの人は食堂の存在を知ってはいたが入った事がある人は1人もいなかった。
ある日、職場の食いしん坊達が「あの食堂、◯◯さん行ってみてくださいよ」「いや、××さんがまず先に…」というふうに、お互い調査兵になるのを押し付けあっていたので、私は勇気を出して
「わっ……私が行きましょうか!?!?!?!?」
と心の中で言った。
私は職場に馴染めていないので、同僚には心で話しかけている。
まぁ、職場に馴染みたいワケじゃないけど?行ったら話のタネになるし?仕方なく?そのお店に行く事を決意した。
会社の帰り、私は例の食堂の前にいた。
今まで何となく通りすぎていたが、店の見た目から「新参お断り」と言わんばかりの威圧感。
見れば見るほど入りたくなくなった。
「嫌だなぁ……でもこんなに古くてもお店が潰れないって事は、たぶん美味しいって事だしなぁ……憂鬱だなぁ…」
おまけに私はかなりの人見知りだ。
こじんまりとした個人経営の飲食店はある程度の会話を求められる可能性があり、そうなった時に私は会話が全然思い浮かばないタイプなのだ。
以前美容院にて、陽気で髪の薄い美容師さんの小粋なジョークに何と返していいか分からず曖昧な顔で黙っていたら、二度と話を振ってくれなくなった事があった。
そんなことから、ある程度会話が求められるお店は苦手意識があり、店の前で3分程入るか悩んでいたのだが意を決して店に入る事にした。
中はカウンター席とテーブル席、お座敷があり奥は自宅と繋がっていて生活感があった。
奥のカウンターの方で超おばあちゃんな女性と、普通におばあちゃんな女性と、50代ぐらいのおじさんが和気あいあいとお喋りをしていて私が来た事には全く気付いていない。
おばあちゃん2人がおじさんをはさんでお酌をしたり話を振ったりしていて食堂というよりは、おばあちゃんキャバクラのようだった。
私は人見知りなので「すみませーーん!」等の言葉を発する事も出来ず、弁慶さんのような仁王立ちで待つ事にした。
暇なのでその隙に心の中で自己紹介をして自己主張する。
「天野アマゾネスと申します。青森県出身右利きの28歳。好きな言葉は『これ内緒の話なんだけど…』です。一番利用する飲食店はガストで、週末はメダルゲームばかりしている比較的終わってるアラサー女性です……」
2分ぐらい心で自己紹介をしていたら、おじさんが私の存在に気づいて
「ばーちゃん!お客さん来てるよ!相手してやりなよ!」
と言ってくれた。おじさんありがとう。
どうやら比較的若い方のおばあちゃんが、この食堂の店主のようだった。
席についたら早速注文をした。
頼むメニューはもう決めている。店の外の看板にも大きく書いてある『サンマーメン』だ。
サンマーメンとは神奈川のご当地ラーメンで簡単に説明すると、とろみのある野菜炒めを醤油ラーメンの上にかけたものだ。
初めてのお店に行った際、私は間違いなく美味しい物を食べたいので店のイチオシを頼むことにしている。
おばあちゃんに「サンマーメン1つ」と注文をすると、おばあちゃんは
「この『特製ラーメン』っていうのはね、息子が考えたメニューでね、私もよく分からないのよ。で、この◯◯はね…」
と、私の頼んでいないメニューについて説明をはじめたが、私は人見知りなので黙って話を聞く事にした。
しばらくメニューの事について話していたおばあちゃんは、続けて自分の生い立ちの話を始める。
「私は四国で生まれて16歳まで四国にいたんだけど、東京に行こうって思って上野に行ったのよ。そこで色々見てみたくなって…」
気付いたら15分ぐらいはおばあちゃん’sヒストリーを聞いていた。
おばあちゃんに孫のボナンザが出来たくだりのところで、超おばあちゃんと話していた常連客のおじさんが
「ばーちゃん!作ってやれよ!女の子お腹減っちゃうだろ!!」
と言ってくれた。ナイスおじさん。
一時ご飯は食べられないかもしれないと覚悟していた私は安心し、改めてメニューに目を通してみた。
定食屋さんで人気のある部類の唐揚げ定食が1100円!!!
人間の唐揚げ好きを逆手に取って完全に儲けようとしているのではないか?
メニューの中で一番安いメンチカツ定食には、終わった余りの肉を使ってるのではないかという不信感を抱いてしまった。
そしてカレーに至っては、完全に引っかけようとしていた。
私はなんとなく、おばあちゃん達が変な儲け方をしてるのでは??と勘ぐってしまった。
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