またしりに恋してる

エッセイ
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ピリきゅうちゃん
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「恋するおしり」という商品を知っているであろうか?
「洗うたびおしりがもっと好きになる」というキャッチコピーの商品であるこちら。スクラブ素材でおしりの古い角質を落とし、洗うたびにお尻が綺麗になるというらしい。

知ったきっかけは、twitterでのあるバズツイート。恋するお尻を使ったら信じられんくらいにお尻がとぅるんとぅるんになって、なでたら洗剤で洗った後の食器の音がするみたいなツイートだった。めちゃくちゃウケていた。
尻から食器の音がするのが良い状態なのかはさておき、多少ながら興味は抱いていた。

私の美意識について先に触れておくと、「綺麗になりたくないと言ったらウソになるが努力はヒトカケラもしたくない」というひきこもりグソクムシの感性を持っている。努力が微塵も続かないので、「楽して痩せられる!」「身に着けるだけでバストアップ!」などの誇大広告にめっぽう弱くよく考えもせずすぐに買ってしまう。「最先端の技術です」の文字の隣でにっこり笑う白衣を着た謎の外人が何者なのかもわかってはいない。
そこで出会ったのがこの「恋するおしり」である。生まれてこのかた尻のコンディションなど気にしたことがなく、「尻・・・あーありますねここに」くらいの気持ちでしか向き合ったことがない。
「洗うたびおしりがもっと好きになる」
キャッチコピーが私を見つめる。尻・・・私お尻のこと好きになっちゃうの・・・?

買った。
恋するおしりは桃の形をしていた。逆にするとハートマークにも見える。可愛い。
今日は恋するおしりを使うと思うとなんだか一日楽しく過ごせた。だって今日は恋に落ちる日。ボーイミーツガール。ガールミーツオシリである。
いよいよ風呂に入り、恋するおしりを使う。このスクラブ、尻に直接なでつけて使うらしい。石鹸を直接体になすりつけるという経験がないため、ためらいはあったがボディーソープで一度綺麗にした我が身、恋するおしりに捧げてみる。
最初使った感想としては、おしりから桃のいい匂いがしてめちゃくちゃ面白かった。可愛い女の子とすれちがった時にする匂いみたいなのが自分の尻からしている。「これが恋・・・?」とドキドキしつつ、洗い流して風呂から出てお尻の状態を確認してみる。

ふむ。

全然分からん。

正直全然わからんかった。
だって普段自分のおしりを触ったことがないから。なんか肌触りがいい気もするけど、いつもと同じと言われればいつもと同じな気もする。うーん。

ということで自分では実感できないまま恋するおしりの使用は続けていた。すると、あることに気づいた。
「減り・・・はやくない・・・?」
スクラブなので毎日使うと肌を傷つけてしまうため、週に何回かしか使っていないのにもかかわらず、妙に石鹸のへりが早いのだ。私は、ある疑惑が脳に浮かび「まさか」とかき消した。しかし、考えれば考えるほどそうとしか思えなくなってくる。
私は父親のもとにいき、「もしかして風呂場にあるハート形の石鹸使ってる・・・?」と聞いてみた。

「うん。使っとるよ。」

父は澄んだ瞳でそう言った。

「やだあ!!!!!!最低!!!!!!!」

めちゃくちゃでかい声でそう言った。小指が立っていた。
恋するおしりは私を思春期に戻してくれた。

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