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10日後にオープンする居酒屋

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高下龍司(koge)
二日酔いグラフィックデザイナー
高下龍司(koge)

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駅前のパン屋さんが閉まってしまった。

朝早くから夜遅くまで開いていて、イートインもでき、そこそこ繁盛していたようなのに残念なことである。少なくとも10年以上前からやっていたお店なのに。

そんな大御所の次はどうなるのだろうかと思っていたら、ジャンボ酒場ができるとのこと。

ジャンボ酒場とは、じゃんぼ總本店というたこ焼き・お好み焼き・焼きそばのお店がイートインできるように展開している居酒屋である。

しかし世は新型コロナウィルスの影響で自粛ムードが高まっている。この状況でほんとうにオープンできるのだろうか。そしてオープンできたとして、お客さんは来るのだろうか。

グランドオープンは4月11日(土)。

4月1日(水)から「10日後にオープンする酒場」とどこかで聞いたことがあるようなタイトルをつけてTwitterで報告した。

 

ここではその様子をもう少し掘り下げてドラマチックにお伝えしていきたい。
いや、普通にお伝えできたらいいかな。
むしろ少しでも伝わる人がいればいいか。
もうなんなら伝わらなくてもいいや。

 

4月1日(水)

第1日目。

看板がつき、垂れ幕が垂れ、アルバイトの募集が始まった。

看板の右上に海遊館のイラストがあるの、「たこ焼きは海遊館のたこを使ってます」みたいでちょっと身がまえてしまう。

ジャンボ酒場のことが気になりすぎて、エイプリルフールにもかかわらずウソをつくのを忘れてしまった。おれのエイプリルフールを返せ。

オープンまであと10日。

 

4月2日(木)

ちらりと見える内装作業。シャッターは古いままだが、テントの骨組みがきれいになった。

中の様子がよく見えないので進捗がわかりにくいが、着々とできあがってきているのだろうか。

外出自粛をうながされてはいるが、街はまだにぎわいをみせている。

オープンまであと9日。

 

4月3日(金)

真っ赤なテントがピンと張られ、いっきにお店っぽさが出た。

こちらも背筋がピンと伸びる思いである。

ジャンボ酒場は1度だけ行ったことがあるけど、べろんべろんだったのでほぼ覚えていない。しかし写真を撮っていたので、記憶がない中でも何を食べたのかがわかってよかった。酔っている時こそ写真を撮ろうという教訓を得た。

オープンまであと8日。

 

4月4日(土)

シャッターが閉まっているので作業の様子はわからないが、作業員の人々が出入りしている。

緊急事態宣言はまだ出ていない。道ゆく人は皆マスクをつけているが、パチンコ店も営業し、居酒屋もそこそこお客が入っている。

いよいよマスクの在庫が少なくなってきたので、ワイドハイターを薄めた液に浸けて繰り返し使うようにしだした。

オープンまであと7日。

 

4月5日(日)

日曜日だから作業はなし。ちゃんと休んでいてえらい。

お昼を食べに店に入ると、まわりは新型コロナウィルスの話ばかりしている。とりあえずで切り出す話題としては天気を超えたんじゃないか。

オープンまであと6日。

 

4月6日(月)

いよいよ今週末がオープンの日である。ピッチをあげてがんばってほしい。

 

仕事帰りに通るとのれんがかかっていた。

やはり目に見える変化があるとテンションが上がる。別に関係者ではないんだけど。

オープンまであと5日。

 

4月7日(火)

ついにシャッターが開き、全貌が明らかになった。
もう店だ。ほんとうにオープンするんだぞと腕まくりをしている。

 

左のほうに資材が置かれているのが確認できるが、それ以外は向かいの公園が映り込んでしまって見えない。

 

夕方になると外観がすっかりできあがっていた。

となりがカレー屋さんなので、オープンすると匂いのスクランブル交差点になること必至である。

そして、出るぞ出るぞといわれていた緊急事態宣言がさっき出た。

オープンまであと4日。

 

4月8日(水)

緊急事態宣言が出たからか、シャッターが開いていない。このタイミングで自粛になったのだろうか。

近くのパチンコ店も今日から休みになっている。はたして…!?

 

だが、夕方になると大量の什器が納品されていた。

オープンまであと3日。

 

4月9日(木)

昨日の納品物を開封して出たゴミだろうか。

 

床も壁も仕上がっている。

 

緊急事態のため弊社も時差出勤が導入され、勤務時間が1時間後ろにずれた。

1時間帰るのが遅くなるとすっかり夜である。

 

夜空にでっかいたこ焼きが浮かんでいるのかと思ったらスーパームーンらしい。しょうもないことを言うヤツは月に代わっておしおきである。

そりゃセーラームーンじゃよ。

オープンまであと2日。

 

4月10日(金)

オープンを明日に控え、準備は万端である。
シャッターはこのままいくのね。

 

提灯ってテンションが上がるなぁ。

自分の名前を書いて表札がわりに玄関にかけておきたい。
自分の名前じゃなくて焼きそばの提灯でもいいな。

 

赤×黄の配色がものすごく目立つ。

 

ふいに現れるていねいな仕事。

 

夕方になると看板も出てきた。
扉を開けたら「らっしゃいませ!」って声がしそうだ。

オープンまであと1日。

 

4月11日(土)

オープン3時間前、嵐の前の静けさである。嵐は起こるのだろうか。

 

やった、おめでとうございます!

かくして当初の予定通り、無事オープンしていた。
現場にはめっちゃいい匂いが立ち込めています! 匂いの嵐です!

 

花も届いていた。

せっかくなんで一杯飲んでいこうかなと思ったが、店内はソーシャルディスタンスを確保するため座席間隔が広くとられていたこともあり、満席だっだのであきらめた。

仕方なく近所のジャンボ酒場でたこ焼きを買い、家で祝杯をあげた。

 

まとめ

かの100日後に死ぬワニは100日後に死に、10日後にオープンする酒場は予定通りの日にオープンした。

別にそれは特別なことではなく、予告どおりに事が進んだだけである。

我々は何を期待し、どうなることを望んでいたのだろうか。

緊急事態で変わる生活もあれば、変わらない生活もある。
ただジャンボ酒場のオープンは“変わらない生活”だっただけだ。

これぞ社会の営みである。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「これぞ社会の営みである」と、きどった締め方をしたが、本当はこんな情勢だからもしかしたら予定の日にオープンできないんじゃないかと思っていた。

自粛の圧に負けてオープンが延期になったらおもしろいなと、完全に他人の不幸見たさで観察しはじめただけなのである。

そして私の予想ははずれ、オープンした。

世の中は完全には停滞することなく回っているのである。

ああそうか、これが社会の営みだ…!

 

自粛が明けたら飲みにいくぞ!

 

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