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「平成最後の」という表現、皆さんはどうお考えだっただろうか。
俺は斜に構えていた側の人間だ。(元号が変わるくらいで大げさな)(他に何が変わるわけでもあるまいに)といったことを吹聴していた。
「平成最後の」というフレーズにいわゆるエモさがあることは認めよう。おそらくこのフレーズが広まるきっかけの一つはこのツイートだ。
もう二度とやってこない平成の夏、好きに生きて好きに死のうな
— かみしの (@KamisinOkkk) May 21, 2018
これはいい。すげえいい。己の終わりを平成の終わりに仮託してその価値を言語化している。
だがなんだ、「平成最後の大バーゲン!!!!!」やらは。お前は元号が変わっても何も変わらないじゃないか。新元号になっても大バーゲンやってるじゃねえか。元号が変わっても己が変わらなければそこになんのエモさも見いだせない。
斜に構えついでに、俺が嫌っていたものの一つが、元号予測だ。詳しくは知らんが学者さんやらが頭をひねっていろんな条件を満たした元号をやっと決めている。
それなのにだ、ある日の駅、俺の近くでおっさんが話していた。
「俺は次の元号は『キュウラク』だとおもうな、ガハハハッ」
耳をそば立てる。
「久しいに楽しいで久楽だよ、ほら、キューってなって音がいいじゃないか、ガハハハッ」
なんだこのクソ適当な予測は。お前と同じ年齢くらいの学者さんは必死に古典をあさってるのに何が「キューってなって音がいい」だよ。もしこのおっさんの予想が当たったら俺はこの地球から脱出してやる。
そのおっさんでなくても、どこぞの馬の骨が適当に予測がうっかり当たってしまい、馬の骨狂喜乱舞を繰り広げるのはなんか悔しい。
だから俺は四月一日、「令和」が発表されたとき安心した。少なくとも俺の周りにそれを的中したものはいない。
26連勤の4月を乗り切り、ゴールデンウイークを迎え、五月一日。元号が切り替わる瞬間をテレビが伝える。
「新たな時代、『久楽』が始まりました!」
どうやら令和はエイプリルフールで、実際はあのおっさんの予測が当たり久楽になったらしい。
湧きあがる大衆。その中心ではあのおっさんが狂喜乱舞を繰り広げていた。
それを確認した俺はこめかみの変形スイッチを押し、ロケットモードに変形して地球を脱出した。
ありがとう、平成。


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