コオロギの事、なにもわかってなかった。虫を美味しく育てて食べる。 ※虫画像注意

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きりたんほ
イモリとヤドカリを飼っている。イモリの名前は長久命(ちょうきゅうめい)と力子(かね)。ヤドカリの名前はイオ・エウロパ・カリスト。

※この記事ではコオロギの画像が大量に出てきます。
序盤にイモリも出ます。

 

 

僕がコオロギを食べようと思ったわけ

「おいでおいで〜、よぉし。上手く食べたね~。」

5年くらい飼育しているイモリ。コオロギを与えると、10秒もしないうちに食いつく。きっと美味いんだろうな。

「きっと……美味いんだろうな……。」

 

カタカタカタカタ

【コオロギ レシピ】検索

 

加熱したコオロギや、粉末にしたコオロギをトッピングしたレシピがたくさんヒットした。コオロギの味については「皮ごと食べられるソラ豆」「大地風味のエビ」など、様々な表現が見つかる。全く想像つかない。そんなにも形容しにくい味なのか。

ところで、回転寿司のメニューに「みかんサーモン」というものがあったのをご存じだろうか。サーモンを養殖するときの餌に柑橘類を与えたサーモンで、本当にみかんの風味がしてとてもおいしい。さっぱりした後味で飽きが来ず、1日で3皿食べた。

「皮ごと食べられるソラ豆」「大地風味のエビ」。これらは微妙な比喩ではなく、本当にそんな味だったのではないか。みかんサーモンと同じように、コオロギの育つ環境によって味が違ったのかもしれない。

イモリ達が食べているコオロギはどんな味なのか。飼育次第では、もっとおいしいコオロギを食べさせてあげられるのではないか。

ペットショップでコオロギを買ってきた。10匹入りを買うと15匹入っていたし、メスが12匹もいた。産卵管や羽の模様の違いで一瞬でオスメスはわかる。

コオロギの飼育は腕に覚えがある。年齢が1桁のころ、コオロギや鈴虫を1000匹以上に繁殖させて、父の職場で配りまわった。1000匹というのは大げさな表現でない。大きめの虫かご10個くらいとクーラーボックス2個にビッチリ蠢いていた。2年後に絶滅した。奴らはうまくいくと一気に繁殖するし、失敗すると一瞬で滅びる。

このコオロギを、人間好みの味に育てて、人間の料理にしてみようじゃないか。

コオロギ飼育のポイント
・餌について
コオロギは雑食なので、食べられそうなものはほとんど食べる。多少腐っていても食べる。だが、水分とタンパク質が不足すると、これらを補給するために共食いをしてしまう。なので、水分を含む野菜と、タンパク質を含む動物性の食品の両方を与える。
よく煮干しなどが紹介されるが、おススメは、ドッグフードや金魚餌などの人工飼料。管理が楽で栄誉の偏りが無い。
・環境について
狭すぎたり、隠れるところがなかったりすると共食いをしてしまう。隙間を作るために木片とか葉っぱを入れておく。今回は新聞紙をくしゃくしゃにして入れた。
幼虫を育てるときは、脱皮しやすくするためにもっとザラザラした素材のほうがいいかも。
本当なら、土の上で育てるべきなのだが、コオロギ以外の虫が湧くと、それを食べることで味に影響が出そうだ。なので床材は不織布。土の上より糞が目立ってしまうが、毎日交換すればいいだろう。

また、今回はオスメスを分けておいた。交尾で体力を使って味が落ちる。気がする。また、リンリン鳴くのは求愛行動なので、分けることで騒音対策にもなる。かも。オスたちは企画後にイモリの餌にする予定。

僕の飼育するコオロギたち

12匹のメスコオロギを3匹ずつ分け、4種類のコオロギを飼育する。

①ラーメンコオロギカツオ節+豚肉+キャベツを与える。
さっき食べられそうなものはほとんど食べるといったが、刺激が強い野菜はあまり食べない。本当はネギを食べさせたかった。
②チーズタッカルビコオロギチーズ+牛肉+人参を与える。
チーズタッカルビというものを食べた記憶がなかったので、育てる直前に改めて食べた。めちゃくちゃうまいですね。
③パフェコオロギ
ヨーグルト+ブルーベリーを与える。
乳製品でコオロギを育てた事もないし、育てた記録もインターネットでは見つからなかったが、気が付いたらヨーグルトをムシャムシャかじっていたので多分育つだろう。
④ドッグフードコオロギドッグフード+キュウリを与える。
僕は犬を飼っていないが、近所にペットショップがオープンした時にドッグフードが配布された。犬の餌が配られることなんてあるんだ。
これまで飼育したコオロギには冷蔵庫の中や生ごみの野菜くずをその日の気分で与えていたが、今回は実験のためキュウリだけを与える。
オスコオロギもこの飼育法。

 

僕の美味しいコオロギ飼育記録

飼育2日目

パフェコオロギのヨーグルトの減りが遅い気がする。ブルーベリーはめっちゃ食う。共食いが不安だ。このままだとパフェ味のコオロギを作りたいのに、ブルーベリー味のコオロギ味のコオロギが出来てしまう。
急遽、チーズを入れることにした。ブルーベリーチーズケーキは美味しいので、ブルーベリーチーズパフェも美味しいだろう。

チーズは匂いが強いからか、すぐに食べにきた。

 

飼育3日目

オスコオロギがすべて消えた。ほぼ間違いなくビンが半開きだったから。近くで鳴き声がする。脱走して部屋のどこかに潜んでいる。
僕の部屋は文字通り足の踏み場もないほどに汚くて、食べカスとか空き缶とかが転がっている。多分餓死はしないだろう。

 

飼育4日目

初の死者が出てしまった。栄養面の心配がいちばん少なかった、ドッグフードコオロギが死んだ。そのうえ1匹減ってる。多分共食いしてる。なぜだ。

 

飼育5日目

ドッグフードコオロギの餌を、ドッグフードと金魚のえさとイモリのえさを混ぜた人工飼料ミックスにして、野菜をキュウリからナスに変更した。
このような作業を蓋をせずにやっていたので、目の前で残り1匹の人工飼料コオロギが逃走した。人工飼料コオロギ、全滅。3日目に逃げたオスの鳴き声はまだするので、もしかすると部屋の中で繁殖してしまうかもしれない。

 

飼育6日目

深酒をして世話をせず寝た。エアコンもつけなかった。

 

飼育7日目

ラーメンコオロギが1匹死んだ。さらに、チーズダッカルビが3匹とも虫の息だ。そもそもコオロギという物は虫の息だが、今回のは慣用句としての虫の息だ。室温が常時30度以上の部屋で1日さぼるとこうなるのか。水分不足が疑わしいので、ニンジンを入れ替えて濡らしたティッシュを入れた。

ビンのそばに、でかくてカッコいいクモがいた。逃走したコオロギはこいつの餌食になるだろう。

飼育8日目

逃走したコオロギが1匹見つかった。脱ぎ散らかしたジャージの中にいた。お尻に産卵管があるので5日目に逃げたメス。繁殖阻止。クモに食われる運命が、人間に食われる運命に戻ってしまった。
水分補給のおかげで、チーズタッカルビコオロギは元気になった。

1週間以上が経過。そろそろ味が染まっているのではないか。

糞が残っているとえぐみが強いらしいので、1日だけ断食させる。1週間断食させるとの記述も見つかったが、こいつら1日世話しないだけで死にかけたから、1日にしておこう。

 

僕はコオロギを調理する

手元に残ったコオロギは
・人工飼料 1匹
・ラーメン 2匹
・チーズタッカルビ 3匹
・パフェ 3匹
だ。

断食で死ぬコオロギはいなかったので一安心。いざ、調理。調理法なんて知らないから、完全に勘。

人工飼料コオロギは、調理法として最もメジャーな素揚げにする。油を温めて、コオロギをポン。南無三。

ジュワー。

 

残りのコオロギはとりあえず茹でる。R.I.P.。

ジュワー。

 

コオロギを食品の上に盛り付けるという、初めての作業を行い、

コオロギ定食完成だ。
…….はっきり言って、美味そうには見えない。脳がコオロギを食べ物ではなく生ごみと認識している。だが、ここまで来て引き返すわけにいかない。

僕はコオロギの味を知る

まずは人工飼料コオロギの素揚げからいただく。

箸でつまんだ時点でかなりサクサクしている。足が簡単に折れた。つまんだ感じは小エビのから揚げに近い。

 

恐れはある。目を閉じる。

すると、まぶたの裏に5年飼ってきたイモリが浮かんだ。
タイミングを間違えると奪い合いになるほど人気のあるコオロギ。飼い主の僕が恐れてどうする。

 

エイッ、パクリ。

 

美味い。

ビックリするくらい美味い。多少の泥臭さとか、筋っぽさとかがあると思ってた。
食感は小エビのから揚げより少し軽めかもしれない。お菓子のおっとっと、あれと小エビの中間くらい。味はカップヌードルに入ってる謎肉の塩辛さを抜いて、ワラビなどの山菜の風味がほんのり付いたイメージ。味付けは塩を少し振るくらいで良さそう。

 


 

次はラーメンに行こう。形が変わっていないしつやつやしているので、見た目は素揚げより虫感が強い。やっぱり抵抗があるが、味への恐れは消えた。

 

ずるずる、パクリ。

 

さっきよりしっかりと謎肉の味がする。謎肉とはカップ麺に入っているものなので具材として味のバランスはとれている。食感はブニブニした感じで正直あまり好みじゃないかも。ラーメンの具材としては素揚げが正解か。

 


 

次、チーズタッカルビ。

チーズタッカルビってチーズがとろーって伸びなくてもいいの?ごめんね韓国料理のシェフ。

 

ピトピト、パクリ。

 

コチュジャンの味しかしない。コチュジャンの味がこんなに濃いと知らなかった。2匹目はコチュジャン少なめでいこう。

 

ピト、パクリ。

 

チーズ風味……かも……?気のせいかも……?あまり味は変わらない。茹でコオロギは汁が出るので、揚げコオロギより濃い味付けのほうが良いという気付きはあった。それか、煮付のほうがいいのかも。

 


 

最後、パフェ。

見た目がバカすぎる。白と茶色の今まで見たことのないコントラスト。

 

トロッ、パクリ。

 

甘酸っぱい!!!!!!

これは絶対気のせいじゃない。味が違う。

甘酸っぱくて、ベリー風味。ただ、パフェの具材としてはハッキリ言って良くない。謎肉や山菜っぽさはないが、食感はブニブニしてて、アイスには合わない。茹でてから凍らせたり、乾燥させてパウダーにしたりすればよかったのかも。

 

よく野生生物を食べている方が、青のりと魚粉で育てた記録があった。(東京で取ってたべる生活 コオロギを青ノリと魚粉で育てて、食べる【昆虫注意】)
野生で捕獲するというのは盲点だった。ほぼゼロ円で、美味い食材が手に入るのか。肉っぽい味になった様だ。僕の育てたコオロギも謎肉っぽい味なので、肉っぽいといえば肉っぽい味だ。やはり、コオロギの味は餌によるところが大きいのだろう。やっぱり逃走とかしますよね。僕が下手糞ではないですよね。

 

コオロギの素揚げは単純に美味い。また、コオロギの味は飼育環境で変えられる。そしてコストがめちゃくちゃ低い。
それでは、完全に管理飼育され、きちんと調理したら。完璧で究極の食材になるのか。そんな疑問に答える店が存在していた。

※次のページもコオロギがたっぷりです。

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